東京養育家庭の会 理事長 能登 和子
(Tokyo里親net 2023年1月号より)
新しい年を迎え、皆様いかがお過ごしでしょう。
コロナの感染が広がりつつある中、静かにご自宅でお過ごしの方。行動制限がなくなったのでご実家やご旅行をなさっている方もいらっしゃるのでしょうか。
我が家では、四人目の里子が社会に巣立つ年となります。 二年前の十二月、高校一年生でやってきた彼は意思がはっきりしていて始めから就職希望でした。 高校三年生になると就職に向けマッシグラ。気持ちはマッシグラなのですが、なかなか行動には移せず六月の中旬にあった三者面談まで決めておくべき希望の会社名を決めきれず、先生に注意を受ける場面もありました。志望する会社が決まってからは二十枚の履歴書を書いても気に入らなかったり、面接の練習も色々な人に頼み繰り返したのですが、途中で泣き出したりしたこともあったと本人から報告がありました。
練習の効果があったのでしょう。 入社試験には見事合格。学校でそれを聞いたときは泣き崩れたと、これも本人からの報告でした。
それからは昨年度からフォスタリング機関にも配置となった自立支援援助相談員の存在でした。素直な子供だったこともあって相談員からのお誘いのあった学習会には全て参加していることもあり少しずつ巣立つ心構えもできてきました。しかし心配なのは一人暮らしです。 寮に入るのですが(マンション形式の寮に一人暮らし)大丈夫かな?という気持ちが強く、無理にお願いして事前一泊・本番一週間の自立訓練を実施していただきました。この取り組みで相談員の方と、彼の課題を共有することができ、この先十年間の支援の方向が一致できたことは大きな成果となりました。
今年のお正月は、十五年間の里親生活を振り返りました。 色々なことがあっての十五年間でしたが、これまで関わった子供たちの自立に関わり、今も交流する喜びを感じています。
今年度自立する彼も「能登さん、僕がいなくなったらどうするの?」「夫さん(これは彼が私たち夫婦を呼ぶ愛称?)と二人のんびり暮らすよ」「じゃ~、時々遊びに来てあげる」が、最近交わした会話です。
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